家での暮らし方は、その家に住む人の数だけあります。それぞれの暮らし方やライフスタイルにあった家づくりを一緒につくりましょう。
冨岡瑛美 - House Designer
「ここにいたくなる家」–– 小上がり畳がつくる心地よい居場所
近年、注文住宅をご検討されるお客様の間で人気が高まっている「小上がり畳」。
ひと昔前まで“和室の一部”としてのイメージが強かった畳スペースですが、現在では暮らしに合わせて自由にアレンジできる“多用途スペース”として再注目されています。
たとえば、ちょっと腰掛けてくつろぐ場所として。
季節のものや日用品をしまっておける収納として。
カウンターを併設すれば、勉強や在宅ワークができるワークスペースとして。
生活スタイルに合わせて形を変えられるのが、小上がり畳の大きな魅力です。
今回は、当社の施工事例の中から、3つのタイプをピックアップしてご紹介します。

1. 地窓によって奥行きを感じさせる“小上がり畳”
小上がり畳の側面に地窓(低い位置に設置した窓)を設けると、視線が抜けて空間が広く見えるというメリットがあります。
一般的に、部屋を広く感じさせるためには、視線の先に“抜け”が必要です。地窓はその点で非常に優秀で、外の光だけでなく、庭の緑や外構の景色を低い目線から取り込むことで、思わず深呼吸したくなるような開放感を生み出してくれます。
また、窓の高さを工夫することでプライバシーを守る効果も期待できます。立った人の目ですれ違わない位置に窓をレイアウトすれば、外からの視線を気にせずにリラックスできます。
小上がりのほどよい高さと地窓の組み合わせは、座った姿勢からの景色を豊かにしてくれるため、読書やお昼寝を楽しむ“くつろぎスペース”としても最適です。

2. 掘りごたつ風に使える“カウンター付き小上がり畳”
小上がり畳にカウンターを設けることで、勉強スペースやワークスペースとして活用できるプランも人気です。
最近は、リビング学習をするご家庭や、お子様を見守りながら在宅ワークをするワーカーさんも増えており、「リビングの一角に集中できる場所がほしい」というご要望をよくいただきます。
小上がりと壁の間に少しだけスペースを空けることで、足を下ろして座れる“掘りごたつ風”の使い方も可能になります。
座卓スタイルに近い、落ち着いた姿勢で勉強や作業ができるため、長時間のデスクワークでも疲れにくいのが嬉しいポイント。小上がり下を収納にすれば、学用品や書類、パソコンまわりのアイテムなどもすっきり片付けられます。
「家族と同じ空間にいながらも、自分の作業に集中できる場所がほしい」
そんな悩みを解決してくれるのが、カウンター付き小上がり畳です。

3. LDKとゆるやかにつながる“ルーバー仕切りの小上がり畳”
LDKの一角に小上がり畳をつくる際、「仕切りは欲しいけれど、完全に閉じたくはない」というお声もよくあります。
そこでおすすめなのが、ルーバーによる“ゆるやかな間仕切り”です。
ルーバーは視線を適度にさえぎりながら風や光を通してくれるため、圧迫感がなく、デザイン面でも空間のアクセントとして機能します。和風すぎない、洗練された優しい雰囲気を演出できるのも魅力です。
さらに、ロールカーテンを下ろせば小上がりスペースをひとつの部屋として使用でき、
- 小さなお子様のお昼寝スペース
- ちょっとした来客時の簡易寝室
- 体調の悪い家族が横になれる休養スペース
など、さまざまな場面で便利に活用できます。
家族が集まるLDKと心地よくつながりながら、用途に応じて“部屋にもなる”という柔軟性は、小さなお子様がいるご家庭からも好評です。
居心地のよい“居場所”がある家は、自然と愛着が深まる
私たちは、家の中に“居場所”をつくることは、暮らしの質を大きく高めると考えています。
小上がり畳は、その“居場所”をつくる上でとても優秀な存在です。
人は、自分にとってちょうどいい高さ、ちょうどいい広さの場所があると、ついそこに長くいたくなるものです。
家の中で自然と滞在時間が長くなる場所ができると、それは“帰りたくなる家”“落ち着ける家”につながります。
手前味噌ですが、当社のモデルハウスも、ご見学のお客様の滞在時間が長いように感じており、つい長居してしまう心地よい空間になっています。
家全体の空気感・居心地の良さは、写真では伝わりきらない部分も多くあります。ぜひ実際に来ていただき、体感していただければ嬉しいです。
