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コラム

注文住宅で重要性が増す長期優良住宅の認定基準のポイント

法律・施策

長期優良住宅

注文住宅を考える際、長期にわたって快適で安全な住まいを目指すなら、長期優良住宅の認定を取得しておくことが重要です。

長期優良住宅認定制度は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の建築・維持保全に関する計画を「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するものです。

この長期優良住宅の基準をクリアすることで、耐震性、省エネルギー性、維持管理の容易性、劣化対策への配慮等がなされた住宅が取得できます。

また、長期優良住宅の認定を受けることで、税制上の優遇や住宅ローンの金利優遇、地震保険の割引などのメリットも期待できます。
本記事では、長期優良住宅認定の基準や、具体的な性能要件について詳しく解説します。
長期使用構造等の必要条件、地震や災害に備える耐震性、省エネルギー性を高めることで実現する温熱環境など、注文住宅に長期優良住宅の認定を取り入れるメリットを知っていただき、長く安心して住める住まいを一緒に考えていきましょう。
※本記事は2024年11月時点の情報で作成しております。実際に検討される際は、最新の情報をご確認ください。

長期優良住宅

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅の認定基準は、数世代にわたり快適に暮らせる住宅を実現するための項目が定められています。

一般的な住宅と異なり、認定を受けることで、耐震性や省エネルギー性、維持管理のしやすさといった住まいの品質を高めることが可能です。

こうした基準は、居住者が長く安心して住める住宅を提供するためのもので、家族の健康や資産の保全にもつながります。

長期優良住宅の認定を受けた注文住宅は、多くのメリットを享受できるだけでなく、居住者に長期的な安心感を提供します。

特に日本のような自然災害が多い国では、耐震性や省エネルギー性能の高さは、日々の生活において安心材料となります。

 

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するために、大きく分けて以下のような措置が講じられている住宅を指します。

① 長期に使用するための構造及び設備を有していること
② 居住環境等への配慮を行っていること
③ 一定面積以上の住戸面積を有していること
④ 維持保全の期間、方法を定めていること
⑤ 自然災害への配慮を行っていること

上記のうち①は建築物に関する技術的な基準で構成されており、その多くは住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度の基準を準用しています。

上記①〜⑤の全ての措置を講じ、所管行政庁(都道府県、市区町村等)に認定申請を行えば、長期優良住宅としての認定を受けることが可能となっています。

 

長期優良住宅における耐震性と省エネルギー性能の確保

長期優良住宅に求められる耐震性能は、特に日本の地震対策に対応するために重要です。

さらに、省エネルギー性能も高く設定されており、高い断熱性能が求められます。

これにより、環境への配慮とエネルギーコスト削減の両方が実現でき、エコで快適な生活環境が整います。

 

長期優良住宅における可変性や維持管理の計画

間取りの可変性や点検・補修のしやすさもポイントになります。

これにより、住宅の使用年数が増えても、構造的な安全性が確保され、ライフスタイルの変化にも対応可能な住まいを実現します。

長期優良住宅は、維持管理がしやすい設計が求められているため、住み続ける中での利便性も高まります。

こうした要件は、住宅の価値を守るための保全計画としても重要です。

長期優良住宅 中庭

長期優良住宅の認定基準の詳細

長期優良住宅(新築:木造住宅の場合)の認定基準は下記です。

【劣化対策】
・劣化対策等級(構造躯体等)等級3の基準に適合し、かつ構造の種類に応じた基準に適合
・木造は、床下空間の有効高さ確保及び床下・小屋裏の点検口設置など

【耐震性】
以下のいずれかに該当する場合
・耐震等級(倒壊等防止)等級2の基準に適合(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合は等級3)
・耐震等級(倒壊等防止)等級1(新築住宅)の基準に適合し、かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下とすること。
・品確法に定める免震建築物

【省エネルギー性】
・断熱等性能等級5及び一次エネルギー消費量等級6の基準に適合

【維持管理・更新の容易性】
・維持管理対策等級(専用配管)の等級3

【居住環境】
・地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和を図る。※申請先の所管行政庁に確認が必要

【住戸面積】
一戸建ての住宅は75㎡以上
※少なくとも1の階の床面積が40㎡以上(階段部分を除く面積)
※地域の実情を勘案して所管行政庁が別に定める場合は、その面積要件を満たす必要がある

【維持保全計画】
以下の部分・設備について定期的な点検・補修等に関する計画を策定
・住宅の構造耐力上主要な部分
・住宅の雨水の浸入を防止する部分
・住宅に設ける給水又は排水のための設備

【災害配慮】
災害発生のリスクのある地域においては、そのリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じる。
※申請先の所管行政庁に確認が必要

長期優良住宅の認定基準で、特に関心の高い4項目である劣化対策、耐震性、省エネルギー性、維持管理・更新の容易性について下記で解説します。

出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会
「長期優良住宅認定制度の概要について[新築版]」

長期優良住宅 無垢

長期優良住宅の劣化対策のポイント

長期優良住宅の構造躯体における劣化対策は、住宅の寿命を延ばし、長期的に維持管理がしやすい住宅を実現するための重要な基準です。

住宅は時間とともに様々な要因で劣化しやすくなりますが、長期優良住宅の認定を受けた住宅は、特に構造部分の耐久性を高めやすい仕様が定められており、劣化しにくい設計が施されています。

 

長期優良住宅における構造躯体の劣化対策とは?

構造躯体の劣化防止対策は、住宅の骨組みとなる重要な部位の耐久性を維持するために必要です。

長期優良住宅では、特に劣化しやすい木材に対し、防腐防蟻処理や防湿に配慮した設計の基準が定められており、長期間の使用に耐えられるような基準が設けられています。

また、使用する材料においても劣化が少ない素材を選定し、数十年先まで安定した品質が保てるよう配慮されています。

 

長期優良住宅における劣化対策等級とその意味

劣化対策等級とは、住宅の劣化対策のレベルを表す指標であり、等級が高いほど耐久性が高いとされています。

長期優良住宅においては最高等級である「劣化対策等級3」が基準として求められ、これにより湿気や温度変化といった通常の自然環境においても劣化が最小限に抑えられる構造が実現します。

長期優良住宅の劣化対策の基準である劣化対策等級(構造躯体等)等級3とは、「住宅が限界状態に至るまでの期間が3世代以上となるための必要な対策」とされています。

劣化対策等級3に適合するためには、建材の選定から設計方法まで高い水準が求められます。

 

長期優良住宅は適切な維持管理で長寿命を実現

劣化対策は建築時だけでなく、適切な維持管理が必要です。

長期優良住宅では、定期的な点検や補修を行いやすい設計がされているため、維持管理が比較的容易であり、住宅を長く良好な状態で保ちやすいです。

これにより、劣化を最小限に抑え、次世代にわたって価値ある住まいを維持することができます。

出典:国土交通省
「評価方法基準案(劣化対策)の各等級に要求される水準の考え方」

長期優良住宅 造作洗面

 

長期優良住宅における耐震性とその重要性

注文住宅を建てる際、住宅の耐震性能は重要な検討ポイントです。

特に長期優良住宅として認定される住宅は、地震に対する高い耐震性が求められ、通常の建築基準法での耐震基準を上回る設計が求められています。

長期優良住宅が求める耐震基準は、大地震後の損傷を最小限に抑え、修復のしやすい構造が求められます。

また、住宅の主要な構造部分だけでなく、内外装材や設備機器などの非構造部材についても、地震による損傷を軽減する設計が推奨されており、長く安全に住み続けられるための工夫が施されています。

 

地震に強い長期優良住宅の必要条件となる耐震等級とは?

「耐震等級」とは、国が定めた「住宅性能表示基準」において、建物がどの程度大きな地震の力まで倒壊、崩壊しないかを評価し、等級で表示します。

耐震等級は1から3までの等級に分かれており、等級が高くなるほど、より大きな力に耐える住宅であることを表しており、耐震等級3が最高等級とされています。

耐震性などが高く長期的に良好な状態で使える住宅の認定である長期優良住宅では、耐震等級2や耐震等級3の取得が要件の一つになっています。

 

長期優良住宅が認定される耐震等級の違い

それぞれの耐震等級の違いは主に下記です。

<耐震等級1>
建築基準法で定められた、建物に備わっている最低限の耐震性能を満たしていることを示すもので、震度6強から7に相当する、数百年に一度起こる大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されている基準です。

<耐震等級2>
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震強度があることを示しています。

<耐震等級3>
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。

 

長期優良住宅で求められる耐震性は大地震時の損傷レベルを低減

長期優良住宅で求められる耐震性とは、「極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること」とされています。

これは、住宅が損傷を受けても修繕を行うことで使用を継続できる設計・仕様が求められているということです。

長期優良住宅の考え方として、建築時から耐震性と補修可能性を考慮した設計が行われることで、万が一の大地震後も住宅の機能がある程度は維持され、家族が継続して暮らし続けられる住宅を目指しています。

注文住宅に必須の耐震等級解説と耐震等級3のメリット

長期優良住宅 玄関

 

長期優良住宅の省エネルギー性のポイント

長期優良住宅の省エネ基準はこれまで、断熱等性能等級4(6地域でUA≦0.87)のみで構成されており、一次エネルギー消費性能についての基準はありませんでした。

認定基準の改正により、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6のクリアが必要になりました。

 

長期優良住宅の省エネルギー性の基準:断熱等性能等級5

断熱等性能等級(以下、断熱等級)は住宅の断熱性能がどのくらいかを示しており、断熱等級は1〜7の7段階あり、数字が大きいほど断熱性が高いことを示します。

断熱等級は「UA(ユーエー)値」と「ηAC(イータエーシー)値」という2つの数値で決定されます。

気候ごとに分けられた「地域区分」によって達成すべきUA値とηAC値の基準値が異なり、地域ごとの気候差を考慮して定められたのが「地域区分」です。

気候条件に応じて国土を8つに区分し、区分ごとにUA値・ηAC値の基準値が設定されています。

UA値は「外皮平均熱貫流率」のことで、室内と外気の熱の出入りのしやすさを示す指標です。

住宅の外皮(外壁や天井、床、窓など)を通って内部から逃げる熱量を、外皮の単位面積当たりで算出した値のため、数字が大きいほど熱が出入りしやすいことを表します。

つまりUA値が小さいほど住宅の断熱性は高まり、断熱等級も上がります。

ηAC値は「冷房期の平均日射熱取得率」のことで、太陽からの日射熱の室内への入りやすさを示す指標です。

住宅の外皮を通って室内に侵入した日射熱の量を、外皮の単位面積当たりで算出した値のため、値が大きいほど熱が入りやすいことを表します。

つまりηAC値が小さいほど遮熱性能が高まり、夏季の一次エネルギー消費量を削減できます。

 

長期優良住宅の省エネルギー性の基準:一次エネルギー消費量等級6

一次エネルギー消費量等級は2013年につくられた基準で、住宅が一年間に消費するエネルギー量を表します。

具体的には「設計一次エネルギー消費量」÷「基準一次エネルギー消費量」で求められるBEIという数値で等級が決まります。

BEIが小さいほどエネルギー消費量が少なく、等級は高くなります。

国が定める省エネ住宅の基準では、一次エネルギー消費量等級4以上の適合が求められます。

注文住宅で重要度が高まる断熱等級解説と断熱等級6のメリット

長期優良住宅 和室

 

長期優良住宅における維持管理・更新の容易性とその重要性

注文住宅を検討している人にとって、住宅の維持管理や将来的な更新がしやすいことは、大きな関心事です。

長期優良住宅においては、住宅を長期間快適に使用するための維持管理と更新の容易性が、認定基準に含まれています。

そのため、メンテナンスがしやすいよう設計され、将来的な修繕や交換が負担にならないような工夫が必要です。

長期優良住宅の認定基準における維持管理・更新の容易性では、構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていることが求められます。

なお、維持管理対策等級(専用配管)及び維持管理対策等級(共用配管)とは、専用・共用部分の給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするために必要な対策の程度を表すもので、等級3は「特に配慮した措置」のことです。

 

長期優良住宅における維持管理・更新の容易性の認定基準

長期優良住宅における維持管理・更新の容易性の認定基準は、次の基準に適合することです。

a コンクリート内埋込配管がないこと
b 地中埋設管上にコンクリートを打設しないこと
c 配管等の内面仕様、たわみ、抜け防止
d 排水管の清掃措置・掃除口の点検措置
e 主要接合部等の点検措置

 

維持管理のための設計と配管設備の工夫

維持管理のしやすい設計は、住宅を長期にわたり快適に保つために必要です。

長期優良住宅では、特に配管の配置や素材に基準があり、容易にアクセスできるよう工夫が求められています。

たとえば、配管の点検や修繕を考慮した設計によって、配管設備の更新がスムーズに行え、将来的なコスト削減や安心感につながります。

設備配管は劣化しやすいため、メンテナンス計画に沿った更新がスムーズに行えることで、快適な住環境が維持されます。

 

計画的な点検と予防保全で注文住宅の長寿命化

注文住宅を長く快適に使用するためには、定期的な点検や予防保全が欠かせません。

長期優良住宅の認定を受けた住宅を建てた場合、計画的に点検を行い、劣化が進む前に適切な補修や交換を行うことで、長期間にわたって住宅を維持することが可能です。

定期的なメンテナンスを行うことで、ライフサイクルコストが削減され、家族が安心して暮らし続けられる住まいが実現します。

出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会
「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について」

長期優良住宅 無垢

まとめ

長期優良住宅の認定基準を満たした注文住宅は、住む人にとって多くのメリットをもたらします。

まず、長期使用構造で快適な住環境を維持できるため、数世代にわたって住み続けられる耐久性が確保されています。

また、耐震性と省エネ性能の向上により、災害時の安全性が増し、日常生活においても光熱費が抑えられます。
また、維持管理がしやすい設計を実現することで、将来のメンテナンスや設備の更新等にも対応できる住まいを実現します。
定期的な点検や修繕が行いやすい構造は、長く住むための基本条件であり、これが叶えられていることで、住まいの快適さを保ちながら維持費も抑えられます。
今後の高齢化社会や災害への備えとしても、長期優良住宅の認定は有益な選択となります。
川木建設では、お客様のニーズに応じた注文住宅の設計を行い、長期的に資産価値を維持するための長期優良住宅を提案しています。

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川木建設は住宅性能にこだわる地域ビルダー

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川木建設は高気密高断熱・高耐震・高耐久な木の家で、自然と寄り添いながら暮らしの豊かさを通し、地域をより愛着深い居場所にしたいと考えています。

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